シラフで死ねるかっ。~酔い闇の映画祭り~

映画レビューを書いてます。たまにネタバレ。たまに毒。たまに涙。

ある天文学者の恋文。【ネタバレなし】

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【勝手に星付け@映画】

ある天文学者の恋文 ★★★★☆

あらすじ→著名な天文学者エドと彼の教え子エイミーは、皆には秘密の恋を謳歌していた。

しかし、そんなエイミーの元に突然届いたエドの訃報。

現実は受け入れられないエイミーだが、彼女の元にはその後もエドからの優しさとユーモアにあふれた手紙やメールや贈り物が届き続ける。

エドの遺した謎を解き明かそうと、エイミーは彼が暮らしていたエディンバラや、かつて二人で時間を過ごしたイタリア湖水地方のサン・ジュリオ島などを辿りはじめ、 そこで彼女が誰にも言えずに封印していた過去をエドが密かに調べていたことを知るが―。 (Amazonさんから)

いやー、泣いた泣いたッ!

ひさびさ号泣スイッチ入りまくりで、ラスト15分くらい延々と泣き続けました。

予告編では、サスペンスやミステリーの作りになってますが、超ストレートな恋愛ものでした。

この映画、評価はいまいち………らしいです。

その理由はおそらく、

①暗い。

②愛と究極のエゴ。

天文学要素が低い。

………の、三点じゃないかなと(勝手に)想像します。

ま、私も否定しません。←しないのか!

①"暗い"でいえば、ほんとに暗い。起伏がほとんどない一本調子で、全編が救いようがないほど話も登場人物も画面も暗い!

しかし愛する人の死に直面し、しかも公にはできない"秘密の関係"だった視点から見れば、エイミーが抱える喪失をそのまま画面に映し出した暗さはむしろ胸に刺さりました。

なので、良い"暗さ"と判断しますッ!

②愛と究極のエゴは、もうほんとに…………その通りッ!

二人の愛だけが至高!美しい!!と既婚者の立場でエイミーと愛し合い、

死後も彼女の人生に口を出し、彼女を翻弄し、傷付け、縛り続けるエドの"贈り物"は彼の究極の自己満足でしかない。←中盤くらいで非常にイライラポイントあり!

でもそれでも、美しいんですよねー。

二人が過ごした6年間は、眩くて美しい。

なぜならそれは二人がそう信じるから。←かなり自分勝手だけどねーッ!

しかし一見、脳内お花畑で"二人のために~世界はあるの~♪"状態の二人だけども、

中盤からラストにかけて、エドが生前に対峙していた苦しみや痛みが一気にエイミーにのしかかってくる。

自分たちは誰を苦しめ、傷付け、何を壊したか。

そうした生前のエドの苦悩をこの映画は誤魔化さずにきちんと描いてました!

しかもそれを提示するのがビデオレターやエドの周囲の人びとで、肝心の彼が今はこの世にいない………というのがまた良い!

誰かの死により、残された人に転機が訪れる……という典型的な作りだけど、描き方はとても静か。

だから暗くて平淡な映画になっちゃったのかなーとも思うけど。←これ、残念ポイント!

天文学要素が低い。←これ、すんごいマイナスポイントッ!!!!!

タイトルにもある"天文学"を製作側があまり重要視してなかったのか、あえて排除したのか………。

アカデミックな展開になりそうなシーンにさしかかると、はい、次のシーン!

うええええ、そこもうちょっと詳しくーッ!となる(´-ω-`)

何故、エドが死後のエイミーの行動や心理を読み続けられたのか、そして超新星と人が最期に放つきらめきとの関係性…………天文学抜きには語れない物語の「肝」をこの映画はどっかに置いてきてしまった。

ほんとにものすごく残念!!!

おかげでアカデミックな闇メロドラマが、ただの闇メロドラマになっちゃった!

けれども、人が持つ愛や情や憎しみに簡単に白黒つけられないし、

違う側面から見れば、エゴの塊のような二人であっても、過ごした時間の美しさは変わらない。

同じ監督の「鑑定士と顔のない依頼人」と同様、欺瞞に満ちた中にも一欠片の真実はあり、愛や美しさは欺瞞とは別の場所にあると感じた。

以上、長文申し訳ございまソーリー。

2017年度のベスト映画10を発表(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ★

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【勝手に星付け@映画】

2017年度の映画ベスト10~!

(レンタルした旧作がほとんとです!)

皆様の年末の2017年ベスト映画投稿を読んで焦りを感じつつも…………空気を読まずに新年度にUPいたします。

お付き合いいただけましたならば、ありがたいです〇┓ ペコリ。

尚、完全なる私見なので苦情は慎んで拒否いたしまーすッ!

☆ベスト10☆

1位・これは文句なしの★5つ!

仕立て屋の恋」(100点!)

愛する女をただひたすらに窓越しに見つめ続ける孤高の変態紳士イールの切ないラブストーリー。

また彼の孤独に唯一寄り添い、また唯一理解したシロネズミちゃんたちとのハートウォーミングなペット映画でもあります!

変態紳士とは、変態である前に紳士である。

彼の辿った運命に暗澹たる気持ちになりつつも、爆発的爽快感が味わえるラストとのコントラストも含めて、最高な1本でした!

2位「トークトゥハー」 ★5つ(98点)

意識不明の愛する女をただひたすらに介護し続ける孤独な変態紳士ベニグノの切ないラブストーリー。(←どっかで見かけた文章だけど気にしない!)

賛否両論なのは分かりつつも、私はベニグノを擁護するねッ!

罪は罪として許しがたい物がある。

あるけれども!

少なくとも彼が抱えていた"孤独"は許されてもいいだろうと思う。

減点ポイントは、劇中映画があまりにもグロかったこと!

3位「わたしを離さないで」★5つ(93点)

カズオ・イシグロの傑作SF小説を映画化したら、傑作ラブ&ヒューマンドラマになった!

どうも2017年度のキーワードは「孤独」だったように思う。

仕立て屋~…もトークトゥハーもガツン!とは来たけど、涙は出なかった。

けどこれは、泣きました。号泣。

救いようがないつらい作品だけども、

ラスト、柵の外側に立つ彼女がつぶやく全ての"提供者"たちの想いが込められた台詞にどこかで救われた気持ちになりました。

4位「モーリス」★5つ(90点)

この辺りからは駆け足で~!

言わずと知れた名作ゲイ映画。

おヒュー様といったら、モーリス!と断言できるくらい素晴らしかった!

5位「孤島の王」★4つ(89点)

マイナーなんですけどねー、マイナーなんですけど、すんごく面白い!

マグダレンの祈り」の少年版。

反乱のきっかけがやんちゃ坊主ではなく優等生というところがこの作品の肝!

北欧系の闇映画好きな方にはおすすめします!

尚、寒冷地描写鑑定人といたしましては、本作の寒冷地描写には100点満点中の200点をつけたいと思います!

6位「WOODJOB」★4つ(87点)

ベスト10に入った唯一の邦画!

ビーヘーさえ出てなけりゃ、4位くらいだったかも!

7位「女神は二度微笑む」★4つ(86点)

踊らない歌わないインド映画の良質ミステリー!

これはよく出来てました!どんでん返しにポカーン………(゚ー゚)

異様な存在感を放つキモキモ殺し屋のおじさんには、個人的に★100個!

8位「シェアハウスウィズヴァンパイア」★4つ(84点)

ヴァンパイアがシェアハウスしてたら?というモキュンメンタリー映画。

ヴァンパイア有る有るには、大爆笑せた、最後はホロッと………ヴァンパイア映画No.1と勝手に決定!

9位「選挙の勝ち方教えます」★4つ(83点)

これぞエンタメ!これぞ映画!これぞカタルシス

発展途上国の選挙を巡るあれやこれや!で、サンドラ・ブロックあっぱれ!で、人間模様がめちゃくちゃなんだけど、爽快感は半端ない!

10位「バルフィ!人生に唄えば」★4つ(81点)

ザ☆歌って踊るインド映画!

pkもよかったけど、あのなんとかうまいこと言ってやろう的なノリにどうも馴染めなかった私。

バルフィ!は良かったですよー。

現在と過去をいったりきたりしながら、

とある誘拐事件の謎解きと、口がきけない主人公、自閉症の少女、裕福な家の娘との三角関係を巡るミステリー。

まず主役の二人がほとんど喋らない!手話もあるけど、字幕はなし!

それでも「愛さえあれば言葉がなくても心は通じる」という主役のバルフィの台詞通り、

三人の気持ちはちゃんと観てる側にも伝わるんですねー。

たくさんの名画のオマージュも散りばめられていて、全く飽きない!

バルフィ役の俳優は、チャップリンキートンを演技を研究し、表情や仕草で感情を伝える術を学んだそうです。

彼の演技は必見です(*´ω`*)♪

以上、2017年度のベスト映画10を発表させていただきましたー。

今、振り返ると幸福の罪や、フルメタルジャケットや、ペーパーマンとかペーパーマンとかペーパーマンとか…、

あとペーパーマンとか!

ベスト10に入れてもいいかなって映画はたくさんありましたが、やはりその映画を観た当時に感じた気持ちを大事にしました!

長文にお付き合いいただきまして、ありがとうございました!

乙女の祈り(ネタバレなし)

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【勝手に星付け@映画】

乙女の祈り ★★★☆☆

あらすじ→ロード・オブ・ザ・リング』以前のピーター・ジャクソン監督が、1994年にメガホンを取った衝撃的な名作。妄想を共有するほど心を通じ合わせた多感な14歳の少女ふたりが、殺人の凶行に駆り立てられていく心理を丹念に追った異色ドラマ。 (Amazonさんより)。

NZで実際に起きた女子中学生2人による母親殺害事件を映画化。

割りと有名な事件だから知ってる方も多いとは思いますが、

妄想にかられた女子中学生カップルが、自分達を引き離そうとする母親を逆恨みし、レンガで顔を××して殺してしまう事件………とだけ頭にいれていただければ、OK(´・ω・`)b

母親を殺害という結果だけを見ると、なんとも胸くそな話なのだけど、

この映画はむしろそこに至る"妄想"と"現実"の落差に重点を置いている。

思春期の少女特有の脆さや潔癖さ、揺れを柔らかく描きながら、

一方でぎりぎりと砂を噛むように崩壊していく家庭や、娘を縛る母親、無力な父親などが"モンスター"のように描かれ、

どうしようもない閉塞感から妄想にのめり込んでいく二人の痛みが響いてくる。

(だって思春期の娘がいる家に若い男を下宿人として住まわせるってどうなのよーッ!!)

二人が作り上げた妄想の王国に最初は、うわぁー、厨二病全開ー!やばー、引くわぁ!だったのに、

気付いたら、「大人ってわかってくれないんだからッ!プンプン!」と二人と一緒になって憤慨してしまったあたり…………見事に嵌められてしまった。

そしてこの"妄想の王国"!やけに設定がエログロ且つ生々しい!!!

お姫様やら王子様が出てくるのに、ちーっともキラキラしてないし、

二人は超絶技巧で精密な粘土人形を作りあげ、妄想の世界の住人に見立てて遊ぶのだけど、

土人形がいきなり等身大になって踊ったり歌ったり………この辺り、かなり不気味。

でも現実から妄想の繋ぎがなめらかで、確かに今の技術からすればちょっぴり雑なシーンもありつつ、

さすがロードオブザリングの監督だなぁ!と思わせる演出は面白かったー。

まぁ、あのケイト・ウィンスレット姐さんが花も恥じらう女子中学生を演じるなんて!と密かにワクワクしてたんですがねー。

ケイト姐さんは何歳であってもケイト姐さんであると再認識。

↑さすがだねッ!

ラストがちょっとあっさりしすぎじゃない?ってなったけど、

まぁ、そこがメインの話じゃないからいいのかなー。

ちなみにググるとわかりますが、映画の登場人物はみんな本人にそっくり!!

そんなところも楽しめました(*´ω`*)♪

レッドライト(ネタバレなし)。

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【勝手に星付け@映画】

レッドライト ★★★★★

全くもってノーマークの作品に度肝を抜かれた。

超能力者vs科学者ってどんだけバッチバチのバトルをくりひろげるんだ!と思いきや、

自分とは何かを深く問いかけるヒューマンドラマだった。

自分とは何か、何をもって自分か。

求め続けた先にあるのは、どんな真実か。

シガニー・ウィーバーが演じる大学の教授も、その助手も、

ひたすらに信じるものと信じられないもの、信じたいものと信じたくないものの狭間で揺れ続ける。

シガニー・ウィーバーの退場の仕方には、えーっ?となるが、

次々にインチキを見破っていくのは痛快だし、

淡々としているから、丁寧に見ていないと置いてきぼりを食らう。

動機も求める答えも違う二人が結果的には同じ目的のために同じ行動を取る、という構成は見事。

ロバートデニーロの心を読ませない演技も素晴らしい。

この映画、評価はあまり高くないけれど、

今まで観た映画のベスト5に入るほどくっそ面白かった!!!!!!!

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(ネタバレなし)

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【勝手に星付け@映画】

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ★★☆☆☆

(永作博美の怪演には★5つ!)

あらすじ→両親の訃報を受け、東京から山間の田舎に戻った姉・澄伽。

家には母の連れ子だった兄・宍道、その嫁・待子、そして内向的な妹・清深がいた。

女優を目指し、家族の反対を押し切って上京したものの、その超ゴーマンな性格が災いし、女優活動も頭打ち。

そんな姉の帰省により、沈殿していた姉妹の関係は一気に爆発炎上、周囲の人々もその渦の中へと巻き込まれていく。(Amazonさんから)

サトエリってクソヤローだなッ!←誉めてる。

強烈すぎる。

強烈すぎる姉。

いい加減にしろ!と横っ面ひっぱたくたくなるような嫌な女なのに、後半になるとその空回りっぷりが滑稽に見えてくるし、ラストはほんのり可哀想に見えちゃうんだけども……………いかんせん、大根だから(゚ー゚)

劇中にいろんなことが起きて、起きすぎて書ききれないけど、

結局のところ、本谷有希子(及び、彼女のファン)は、この映画化に満足したか否か!?が気になるし、

本谷有希子(及び、ファン)は全力でこう答えるに違いない!

「否!」←と、信じる。

※わたくし、本谷有希子は大好きです!

戯曲の映像化って難しいなー!と感じた1本。

本谷有希子は日常の"ズレ"を描くのがとてもうまい作家で、その産毛がそっと逆立つようなズレを映像にするにはあまりにも些細で微細すぎる!

腑抜けども~…のズレを映像にすると、すんごく嘘くさくなるんですよー。

あ、でも映像だからこそ言葉に頼らずその産毛をズームでとらえられた筈なんだけどなー。

これってやっぱり監督の手腕がアレだったってことなのかなー。

↑貶してるわけじゃないんですッ!ちょっとディスってるだけ!

全体的に大味で伏線を隠す気もないから、どんでん返しも地味だしねー。

しかしこの映画の永作博美は素晴らしい!!!

鈍感で不器用で、純粋すぎる不気味な兄嫁、待子。

後半、いたたまれなさに雨の中、家を飛び出した宍道の前に、待子が現れる。

「シンジさん、迎えにこなくてもよかったのに(ニコッ)」

↑ひぇぇぇぇーッ!

家族の秘密に気付きつつも、微笑みのごり押しで健気な妻を演じる待子ってホラー………。

永作博美がいなかったら、この映画は成り立なかったなぁとつくづく感じまする。

誤解なきように付け加えるなら、私、ほんとに本谷有希子が大好きなんですッ!

大好きなので、辛口に書きましたが、

できましたらば、主役(だけ)を代えてどなたかに撮り直していただきたいと一ファンとして切に願います(=ΦωΦ=)

グッバイ、レーニン!(後半ネタバレあり)

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【勝手に星付け@映画】

グッバイ、レーニン! ★★★★☆

※下の方にネタバレあり!

あらすじ→最近のコメディはカップルのロマンスなどを描くものが多いが、『グッバイ、レーニン!』は、単に面白いだけでなく新鮮味がある意欲作である。映画は共産主義が終焉する前の東ドイツから始まる。主人公アレックス(ダニエル・ブリュール)の母親(カトリーン・ザース)は生粋の共産主義者で、彼が抗議デモに参加して警官に捕らえられたのを見て、心臓発作を起こしてしまう。彼女は8ヶ月間昏睡状態に陥ったが、その間にベルリンの壁が崩壊してしまった。目を覚ました母親の弱った体にショックを与えたくないアレックスは、共産主義がまだ存在していることに偽ることにした。『グッバイ、レーニン!』では、アレックス、母親、そして彼らを取り巻く人々の世界において、ウィットに富んだ風刺と現実世界のバランスがうまく取られている。面白い映画で、とてもお勧めだ。(Bret Fetzer, Amazon.com)

なんとも分かりやすい映画だけども、安易なウェルメイドプレイに走ることを良しとしない映画!

………というとつまらなそうだけど、めっちゃ泣いてきました!!!!!

設定からしてコッテコテのコメディにできたはずなのにその裏側にある日常を淡々と描いたのが非常に好感度高い。

外側から見た東西統一は、非常にゆるやかに且つ、友好的に行われたように見えたけれど、市井の人間たちが日常の様々な変化に戸惑い、軋轢が生まれたことも想像にかたくないけれど、

この映画はその日常の些細な変化を淡々と描き出す。

東ドイツに住むアレックスの家族。

幼い頃、父親は西側に愛人を作り亡命後、音信不通に。

その反動で徹頭徹尾、社会主義に傾倒した母親は、十数年後、デモに参加したアレックスが警官に殴られるのを見たショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に。

母親が昏睡してる間に、ベルリンの壁は崩壊し、東西ドイツは統一。西側の資本主義がなだれ込み、サッカーW杯でドイツが優勝。

大学を中退し、勤務先のバーガーキングで働西側の恋人できる姉。

アレックスには看護師の恋人ララができる。

↑ちょっといろいろ詰め込みすぎじゃない?って突っ込みはありつつ、まぁ、分かりやすい変化かな、とも思う。

主人公のアレックスは、医師から次に発作を起こしたらアウトだと警告され、昏睡状態から目覚めた母に東西統一を徹底的に隠す決意を固める。

ここから彼の涙ぐましい努力が始まる。

壁を塗り替え、家具家電から衣服にいたるまで西側のものをそっくり排除し、姉やその恋人、ララ、友人知人を説き伏せ、母が知る東ドイツを完全復元!!!

母がTVを観たいといえば友人と偽のTV番組まで作る始末。

しかしこの描写はドタバタ感はなく、全てありふれた日常の光景として描き出される。

姉と会話しながら、ジャムを西側→東側の瓶へと入れ換える。

それは笑いもハラハラドキドキもなく、当たり前の光景。

「俺、今、瓶の中身入れ換えますがそれがなにか?」である。

ウケ狙い演出できたはずなのになー、この辺の監督の手腕は見事!!!

「東側のダサい服なんか着たくない!」「こんなの間違ってる!」

アレックスの完璧ぶりに反発するも次第に流されていく姉やララ。

そうなんだよなー、例え大きな枠組みが代わったからといって日常ってそんなに劇的に変わったりしないんだ………と思い知らされる。

協力してくれる人たちがまた優しいんだ……。

この映画には善人もいなければ悪人がいない。

ただそこには"日常"があるだけ。

アレックスの猪突猛進型の身勝手さには呆れるけど、開き直り方にはあっぱれ!

中盤、介護疲れで居眠りしてしまったアレックスを置いて、母親はこっそり外出。

そこには西側の人間や車、コカコーラの看板が溢れている。

大ピンチ!と思わせといて、見事に嘘ニュース番組で誤魔化す!

もうそれは母のためなのか、アレックス自身の願望のかわからなくってくる。

行方不明だった父が見つかり、亡命の真実が明かされた時、家族は嘘は嘘のまま崩壊していく。

再び心臓発作を起こした母親のために、父親を見つけ出したアレックス。

病院では再会したものの、話しかけるかどうか迷う父に娘は踵を返す。

このシーンはぐっと来ました。

そして最後の大博打に打ってでたアレックス。

そんなアレックスを背後から見つめる母の優しい目。

その全ては、母親のために奮闘したアレックスへの愛。

嘘を内包したアレックスの愛はそれにどう応えただろうか。

それは最後までわからない。

正しいか正しくないか、それだけでは計れない深い深い愛と日常の細やかな描写にすっかり胸がつまった。

以下、ネタバレ。

タクシーの話はできすぎだろー!!!

序盤に提示された伏線の回収はよかったけれど、ちょっとできすぎだわー!!!

あとララ!ララさ、こっそりネタばらしはないだろーよーッ!

それは母親の死後、ララの口から語られるとか、実は遺書に書いてあったとか…………お涙ちょうだいな展開用だろうー!!!

でも待てよ、それがないからよかったのかもー。

涙鉄板な母親の死ぬシーンもなし。

コメディにもならず、お涙ちょうだいにもならす、ただ乾いた日常を描くのみ。

彼が信じたかった真実に気付いた母。

それは母もまた信じたかった真実だったのかも知れない。

全く系統は違うけど、「灼熱の魂」を思い出した。

コメディの棚にあると思いますが、コッテコテなコメディでもなく、

その裏側を描く日常の映画。

おすすめします(*´ー`*)

ふたりの5つの分かれ路(ネタバレなし)

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【勝手に星付け@映画】

ふたりの5つの分かれ路 ★★★★☆

※ネタバレがあるかないかというより、結末は初めから決まってますので最後まで読むかどうかは各自のご判断でお願いします!!!

あらすじ→2004年に上映されたフランスの映画。フランソワ・オゾン監督。映画は一組のある夫婦の離婚にはじまり、時間を遡って二人の出会いを描いている。(Wikipediaより)

他の方の投稿を観て、とても気になったので鑑賞。

ジルとマリオン。

映画はこの二人が離婚した瞬間から始まり、ラストの二人の出会いまで時系列を遡りながら、進む。

すれ違いやいさかい、離婚に至る分岐点(分かれ路)が、それぞれの章に分かれて描かれるのだが…………!

二人ともなかなかにくせ者。

離婚が成立した直後にホテルで「これが最後ね」とばかりにいきなりセックスを始める二人。

…………えー?なんでそうなるのかわからなーい!とぽかーん。

しかもそんなに悪い雰囲気じゃない二人になんで離婚する必要があるんだろうか…………と、疑問がわくのだけど、

自分の身勝手な振る舞いに全く気付かないジルと、諦めと拒絶をいったりきたりするマリオンに、

あぁ、この2人の間にある溝はそう単純に白黒つけられるものではないのだと気付かされる。

すでに別の相手が存在しているジルに問われ、「遊び(の相手)ならいる」と答えるマリオン。

でもこれは、マリオンの女の意地だったんじゃなかろうかと思う。

本当は独り。しかし孤独を悟られるのを良しとはしない。

そんな複雑な女心からの言葉に感じた。

それは実はこっそりセクシーな下着を身に付けて現れた彼女の行動にもよく表れてると思う。

いやー、しかしフランソワ・オゾンは怖いッ!

女(の肉体)の撮り方が非常にシビアにですよー。

もうやめてー!そんなとこ撮らないでー!となるけど、すごく綺麗。

この映画は女性と男性でははっきり評価がわかれる映画かも知れませんねー。

というより、どちらの心情に寄り添えるか……かな。

結婚初夜のマリオンの行動は、善し悪しは別として………気持ちはすごく分かる。

ホテルを抜け出したマリオンが、壊れていても憎み合っていても、

夫婦という形を保ち続ける両親が仲良くダンスする姿をどういう思いで見つめていたのか。

私はマリオンがジルと自分との決定的な分岐点をそこで見つけたような気がします。

だってあれはないでしょーッ!バケツで水ばっしゃーんしなかったマリオンに拍手(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ★

離婚が1つ目の分かれ路として、4つ目まではこんな旦那いらないだろー!って感じていたけども、

ラスト、5つ目の分かれ路。

二人の出会いのシーンがあまりにも美しくて、泣けた。

なんでこうなっちゃうんだろうなー!

愛憎や愛情に何も違いはなくて、同じ時間を過ごす内に、

それぞれが持つ「愛」の意味だけが変わっていく。

そこに善し悪しなんて持ち込む余地はないのだと感じた。

地味な映画だけども、胸にじんわりときました。

あとマリオンがジリアン・アンダーソンに見えて仕方なかった件も一応、書き加えておきます。

マチェーテ(ネタバレなし。多分)

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【勝手に星付け@映画】

マチェーテ ★★★★☆

あらすじ→罠にはめられ失職した一匹狼の元メキシコ連邦捜査官マチェーテ

不法移民嫌いの米政治家の暗殺を依頼されるが、それもまた新たな罠だった… 。

壮大なる復讐シンフォニーが今始まる!!!(Amazonさんから)

最初に断っておきますが、超コッテコテのB級です!

おそらく誰もが一度は観たことあろう脇役、ダニー・トレホの初主演映画!

セガールやら、デニーロやら、ジェシカ・アルバリンジー・ローハンミシェル・ロドリゲス………無駄に豪華キャストなのに、やっぱりロバート・ロドリゲス

B級臭むんむん!!!!

美女をはべらせたセガールが日本刀を振り回し、リンジー・ローハンはヤク中、ミニスカナースも銃をぶっぱなし、花束からは拳銃、宍戸梅軒か?っちゅう鎖鎌風の武器、眼帯ビキニに、タコスに…………いやー、もうお腹いっぱーい。

ストーリーはもう何から手をつけていいかわからないッ!

多分、誰もが思い描く麻薬、ギャング、移民、銃などなどいかにも"ザ・メキシコ"のイメージそのまんま!

裏切り、裏切られ、裏切り、裏切られ、血飛沫が舞って、首がポロンポロンとんで、お×ぱいもポロンポロンして………!!!

最後はバーフバリ!バーフバリ!!的に「うおおおお、やっちまおうぜー!!!!」みたいな。

いや、でもどっこもポロリしない残念ヌードのジェシカ・アルバちゃん

演説が下手くそッッッ!

これじゃどう頑張っても、うおおおお、バーフバリ!ならないよ。

うおおおお、バーフバリ!ならないのに、

一応、うおおおお、バーフバリ!リアクションしてるメキシコギャング達が不憫で仕方ない………(´;ω;`)

あとダニー・トレホ………やっぱ名脇役は名脇役のままでいいと思うんだ…………特徴あるんだけど、華がない、華がぁー!

しかし華はなくとも、不慣れすぎて観てるこっちがウヒャアー、ハズカシイッ!と思わずモヤモヤ萌え萌えしてしまうラブシーンは最高であったことを一言、申し添えておきます。

普段からぽんぽん脱ぎまくってるためかなり見飽きた系のリンジー・ローハンの誰得ヌードも、まあまあ…だったと追記しておきます。

それよりなにより、目玉焼きなにーッ!?

わたくし、確認のために3回巻き戻しましたよッ!

1回目→あれ、卵があったような……?

2回目→卵だ…………しかも目玉焼き……。

3回目→なんで目玉焼きがあるんだよォォォォーッ!!!!

ダニー・トレホが目覚めると、ベッドの下で卵が焼けてるんですよ。目玉焼きなんですよ。

↑これ、比喩でもなんでもなくて、事実を忠実に書きました。

だってほんとにダニー・トレホが目覚めると、ベッドの下で卵が…以下、略。

どうやらメキシコではベッドの下で割った卵が固くなってたり、異変があると悪いことが起きるとかなんとか……………。

↑唐突すぎてわかんないーッ!!!!

ま、でもロバート・ロドリゲスだしいいかなー。

という感じの超コッテコテB級映画でした(*´ω`*)♪

バーフバリ(ネタバレなし!)

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【勝手に星付け@映画】

バーフバリ伝説誕生 ★★★★☆

あらすじ→赤ん坊の頃に滝で村人に拾われ育てられた青年シヴドゥ。彼は運命に導かれるように滝の上の世界に辿りつき、暴君が支配する王国と戦う女戦士と出会う。彼女とともに戦いに身を投じたシヴドゥは、自分がこの国の王子バーフバリであることを知る。背景には、祖父の代から続く壮絶な王位継承争いの歴史があった。バーフバリを待ち受ける運命とは―! (Amazonさんから)。

噂のバーフバリ!バーフバリ!!を観ました!!!

可愛い赤ちゃん→美少年→なぜかおっさん(25)になる過程に涙………。

もう少し若いかイケメンか、もしくはイケメンでも若い方がよかった!!とおばちゃんは思うッ!

そしてこのバーフバリたん、成長して砂をいじいじしたらあらあら美女の顔が浮かび上がったではないですかー!!!

よし、オラこいつと結婚すっぞ!と悟空風にいったとか言わないとか…………完全に脳内エロ親父モードで滝登りする軽く変態なバーフバリ!!!

↑M:I 2ですね!ターザン的なシーンもありますよー!!!

妄想の中の美女を追いかけ、エロ親父パワーで頂上についたら美女は消えてた!!!

なのになぜか上機嫌のバーフバリ!←やっぱ変態!!!

妄想の美女を現実に見つけ出したら、レッツストーキング開始!!!

ひゃー、スーパーポジティブだー!!!

おいおい、こいつが伝説の王な訳?マジで?マジすか?という60分を経過したあたりから、俺ちゃん無双発動!!!

↑この辺、小バーフバリ。

美女と1回いたしちゃっただけで俺の運命!私の運命!…………うーん、あなたたち、ちょっと怖いよー。

でもインドだし、古代だし、まぁいっかー!!!

てとこから、時代は遡り、父ちゃんバーフバリの時代へ………。

キタキタキタァーッ!

ちゃんバーフバリ、めちゃくちゃバーフバリ!バーフバリ!!じゃないですかぁぁーッ!!!!!

息子バーフバリには、小バーフバリ!なのに………。

ちゃん、めっちゃバーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!!

ってとこで伝説ー糸冬了ー

次回へ………。

おもしろかったー!!!

おもしろかったけども!!!!

もっと、うおおおおっ、バーフバリ!バーフバリ!!ってしたかったー。

いろんな映画のオマージュはいってたけど、合戦シーンは墨攻だと思うなっ!

あと敵ボス、イモータンジョー様じゃございませんことッ!?

そんなことひっくるめて、バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!!を期待して、

次回作を粛々と求めたいと思います。

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【勝手に星付け@映画】

シャイニング ★★★☆☆

(雪山描写☆☆☆☆)

あらすじ→山の中にある“展望ホテル”で、冬の5ヶ月間、雪によってホテルに閉じ込められる形での管理人職をすることになったジャック。

かつて管理人をしていたグレイディーという男が突然おかしくなり、妻と娘を殺害した後に自殺したという“1970年の悲劇”という事件が起こったという曰く付きの仕事でもあった。(どこかのサイト様より)

いつか観なければいけないと思いつつ、観なかった1本をやっと鑑賞。

一部の方はご存知の通り、キングとは相性がくっそ悪い私ですッ!

ついでに映画における寒冷地、雪山、雪道描写に異常なほど厳しいですッ!

故にあまり期待しないでくださいませー。←よし、注意はしたぞ!

まず主人公のジャックさん!…………ジャック・ニコルソンが演じるジャックさん、ややこしすぎる役名なのは致し方ないですかー?致し方ないですね!

そのジャックさん、面接でいきなりふんぞりかえって座っててビビりましたー。

しかも相変わらずあのザ☆圧!な笑顔!

いやー、あんた面接きてそんな態度はないでしょッ!となる辺りから、彼の底意地の悪さやこじらせっぷりがひしひしと伝わる良い導入部だったと思います(*´ω`*)♪

観る前、キューブリックとキングの相性ってどうなのよ?キューブリックが"王道なのに妙にこじれたオカルトの大家・キング"をどう調理するのかなーっと興味津々でしたが、

ホテルの跡地がインディアン墓地とか、子供が人差し指トニーと会話したり、予知ができたり…………あ、ちゃんとキングのお約束を踏襲してるのねー、とホッとしました。

しかし例の血がどびっしゃーやら、双子ちゃんやらがいきなり序盤に登場するのも、

ホテルについて5分で(※正確には20分位?いやでも感覚的には5分!だから5分で!)シャイニングの正体が明かされるのも!

散々嫌がってたくせに1ケ月後、廊下でちびっこ暴走族かますノリノリのダニーも!!

冬期休業中なはずなのにノー埃よけの調度品!!全館照明びっかびかなのも!迷路の芝は刈り込まれてるのも!!!←誰がやったんですか?幽霊ですか?亡霊ですかー?!

あげくに全室施錠なしなのも!!!

↑うぉぉーい、ジャックさんが極悪人だったら今頃、調度品売り払ってヒャッハー!だろう!

ところで"シャイニング"の能力って結局、本編に何かしらの効果?意義?があったのかしら………(゚ー゚)?

私は、ダニーのその後が気になって仕方ない………。

そーしーてー、肝心の雪が降らないのも!ちっとも降らないのも!!!

いつになったら降るの?まだ降らないの?そろそろ降るの?

冬期休業……あれ、雪が降って極寒だから冬期休業……あれ?

……にしても、あなたたち、薄着すぎやしませんかッ!?

マイナス30℃で居室以外ノー暖房なのに薄着すぎやしませんかッ!?

という寒冷地(及び雪山、雪道)描写鑑定人のわたくしの怒りもみーんな、置いといて…………、

あのクマさんはなにーーーーッ!?

ここにきて噂の淫〇テディ〇アで〆ですかぁーーーーーーーッ!?

わたくしはあのクマさんに魂を抜かれてしまいました…………。

困ったね、お手上げだっヽ( ̄▽ ̄)ノ

キングと相性悪くてもなんでもいいやっヽ( ̄▽ ̄)ノ

でもなんだかクセになるんですよねッ!キングは!!!

なんだかんだいっても観ちゃうんですよねーッ!

ハンニバル(ドラマ版)がシャイニングのオマージュに溢れてるというという点と、

それによりわたくしのハンニバル愛が立証された点を鑑みて…、

シャイニング最高じゃん!!!…………と締めさせていただきます。