シラフで死ねるかっ。~酔い闇の映画祭り~

映画レビューを書いてます。たまにネタバレ。たまに毒。たまに涙。

8月の家族たち(ネタバレなし)

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こんにちは!

昨日は更新さぼってしまった。

………諸事情あった故に致し方なし!!!

人生に開き直りは大事です!フゥー…。

今日、ご紹介するのは舞台が原作の8月の家族たちです。

ア・フュー・グッドメンジャック・ニコルソン演じる大佐のド迫力にかなりの圧!を受けた私ですが、

画面を通してまであんな圧!を感じさせる俳優はそういないだろーって思っていたら、

本作のメリル・ストリープから見事な圧!をいただきまして…………いやー、あんな母ちゃんいたら、わし、ちびっちゃうわ!と涙目になりました(´;ω;`)

出演する俳優さんたちも名優揃いで、危なっかしくない安定した作品に仕上がってます。

★4つなのは、単純に映画ではなく舞台でこそ観たかった!という私の負け惜しみです。

くそっ。

【勝手に星付け@映画】

・8月の家族たち ★★★★☆

あらすじ→オクラホマの片田舎に住む母親バイオレット(メリル・ストリープ)と、父親がこつぜんと姿を消したことで集まった3姉妹。一癖ある母バイオレットは病を患 い、長女のバーバラ(ジュリア・ロバーツ)は夫(ユアン・マクレガー)の浮気と娘(アビゲイル・ブレスリン)の反抗期に悩んでいた。一方、次女アイヴィー (ジュリアンヌ・ニコルソン)はひそかな恋に胸を躍らせており、三女カレン(ジュリエット・ルイス)は家族の危機に婚約者を伴い帰宅した。(シネマトゥディより)

【追記】行方不明になった父親を心配し、集まった三人の娘(とその家族)、妹夫婦たちが一緒に過ごす内にそれぞれの秘密が暴かれていく……というお話。

コメディーの棚にありましたんで、ここは一発笑わせていただこうか!と借りてきたんですがねー。

大惨事になりました……。

全く笑えないじゃないか!!!

タイトルやジャケからすると、仲が悪い家族がすったもんだの末にするっとハッピーエンド………な想像は見事に開始1分で裏切られました( ̄▽ ̄;)

M・ストリープ演じるバイオレットがいきなりハゲ頭のくわえタバコで(しかもラリって)登場。

アル中の夫を早速罵倒し、ネイティブアメリカンのメイドを「インディアン」と罵倒し、

三姉妹も罵倒し、三姉妹の連れ合いたちをも根こそぎ罵倒し…………。

しかも辛辣で容赦ない"真実"ばかりだから質が悪い。

Mストリープってばなんとまぁ身勝手で嫌味な母親!とうんざり。

しかも処方薬依存症でODの常習犯ときたら、もう………勘弁して。

↑ここまででまだ開始30分くらい………。

やがて行方不明のバイオレットの夫(アル中)が溺死体で発見され、葬儀のあとの会食が開かれますが、

ここに至る過程もまぁ…………、

カンバーバッチ演じるリトルチャールズが遅刻して現れたらと思ったら、しくしく泣き出したり、(←可愛らしいったらありゃしない)、それを「無能」の罵る伯母。

マリファナ中毒の長女の娘に三女カレンの婚約者がちょっかい出したり、それに気付かず新婚旅行に浮かれるカレン、次女のアイヴィーもなにやら不穏だし、長女夫婦が裏庭で怒鳴り合いを始めたり………波瀾万丈すぎる(´-ω-`)

もつれあって入り乱れて事態はどんどん悪化していくのに、舞台が原作だけあって、シビアで辛辣な言葉の応酬はスカッとするし、心地よい。

よし!いけ!言っちまえー!とノリノリ。

舞台ってのはCGやVFXが使えない分、会話が刺さるんですねー、過激なんですねー、ホラーなんですねー。

私はそこが好き。

話がそれた!

さてと一同揃い踏みの会食シーン。

ここからがMストリープ演じるバイオレットの独壇場。

まずは部屋にこもって、薬を水無し(!)でパクパク………。

ばっちりキメて、ラリラリで会食の席へ。

「私はこの家のことはなんでも知っている」とア・フュー・グッドメンの大佐ばりに睨みをきかせ、

長女バーバラ夫婦の別居と夫の浮気を暴き、三女カレンの婚約者の本性を暴き、ついでに亡夫を罵り、長女と取っ組み合いを始め………。

もうやめてー!!家族ってなんですか?家族になるって、家族を作るってなんですかーっ!?と、涙が出ちゃう。

宴は散会。

三姉妹だけでゆっくり語り合う場面にほろっと来ても、会話をしていく内になにやら不穏な空気が………。

長女バーバラの母親に似た独善的な面に嫌気がさしたり、次女のアイヴィーもなかなかどうして底意地が悪いし、次女のカレンは自分大好きだし。

どうなっちゃうの?この家族!

そして元凶、バイオレットの母に至っては胸くそが悪くなるエピソード展開されるわ、家族の絶対に知られてはいけない秘密に、ラストの父の死に絡む特大暴露…。

バイオレットってば可哀想………(´;ω;`)

けどね、バイオレットも亡夫もものすごい苦労をしたのはわかるけど、ここまで身勝手に振る舞うなら、そりゃあ誰からも見向きもされなくなるわー(⚫`ε´⚫)プンプン!

息が詰まるような展開の中にも、愛ゆえの痛みや諦め、飲み込むことの苦しさ、それを吐き出したことへの安堵。

一筋縄ではいかない「家族」の愛憎がひりひりと突き刺さりました。

特にバーバラがアイヴィーの後を追うシーンには涙が、バイオレットの後も追うシーンには切なさを感じ、

ラストのバーバラの草原を見つめる目には、ほんの少しだけ未来があった。

Mストリープは安定のド迫力。

アイドル女優から一皮どころか三皮くらいむけちゃったJロバーツの演技は見物。

Jルイスの嫌味がないビ×チっぷり、アビゲイルちゃんの思春期真っ只中のふてくされガール、クリスクーパーの愛すべき優しさ、カンバーバッチの気弱な青年。

ユアンマクレガーの優柔不断っぷりに、伯母役(名前失念!)の嫌らしいおばはんぷり、ジュリアン・ニコルソンの純情ゆえの頑なさ、メイドの包み込むような優しさ。

素晴らしい名優たちの火花を散らす会話劇。

激しくおすすめいたします(*´ω`*)♪

あ、アリーmyラブを観ていた方!

ジュリアン・ニコルソンちゃんは、アリー~…のラストシーズンに出演していたジェニーちゃんですよー♪ヽ(´ω`)ノ