シラフで死ねるかっ。~酔い闇の映画祭り~

映画レビューを書いてます。たまにネタバレ。たまに毒。たまに涙。

明日、君がいない。(ネタバレなし)

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ウルフ・オブ・ウォールストリートを一時停止したまま、またもや挫折。
 
なんだ、わし。
 
なんかのらない気分。
 
あぁそうだ大爆発したからだヽ( ̄▽ ̄)ノ
 
そんなわけで青春って甘酸っぱいねー、人生って切ないねーって映画をご紹介いたします。
 
見ようによっちゃ鬱映画だけど、私にはキラキラの原石に見えました。
 
 
 
【勝手に星付け@映画】 
 
明日、君がいない ★★★★★ 
 
 
 
あらすじというあらすじもないので感想を書きつつ、ふんわりとさわりだけ書きます。
 
オーストラリアの自主制作映画。 
 
観たのは大分前なのですが、ほんとにほんとに良い映画だったのでご紹介を。 
 
登場人物は、オーストラリア南部の高校に通う6人。 
 
音楽の才能があり、両親に溺愛される兄と愛されない妹。 
 
その兄に恋する優しい同級生。 
 
高校一の人気者とチアリーダーのカップル。
 
いじめられているゲイの生徒、障害があり同じくいじめられている男子生徒。 
 
6人が6人とも死にたくなるような秘密と痛みを抱えている。 
 
そしてこの中の1人が朝、高校のトイレで自殺する。 
 
果たして自殺したのは誰か? 簡単です。
 
実に簡単な映画なのです。 
 
物語はそこから始まり、終わります。 
 
高校の3年間などは、長い人生から見ればほんの短い時間。 
 
なのに逃れようがない濃厚で閉じられた世界。 
 
誰かが怒りや、悲しみ、憤り、痛みに晒されても誰もがそれを素通りしていく。 
 
ラスト、誰が自殺したかがわかった瞬間、言いようがない寂しさに包まれました。 
 
誰かに関わることで死のきっかけが生まれることがあるなら、誰とも関わらないことが死のきっかけになることもある。 
 
思えば、その人物は初めからずっと一人だった。 
 
当時、監督は19歳。 
 
ベテランの監督が潤沢なお金をかけて作れば、この映画は"大作"になったかも知れません。 
 
けれどそれは作り物にすぎない。 
 
なぜなら、彼は、長年の女友達がある日突然、自殺するという経験をしているから。 
 
理由は今でも誰も分からない。 
 
その"何故?"を彼は「明日君がいない」で描いたのです。 
 
こんな19歳、いない。 
 
低予算なのは目に見えて分かります。 
 
しかしそこを安易なチープさやギャグにせず、この映画(の世界観やテーマ)をどう予算内に納めてやろうか!という気概が素晴らしい。 
 
役者は自分で見つけてきたほぼ素人。 
 
障害者の少年は、街で足を引きずって歩くのをたまたま見かけてスカウト! 
 
登場人物の背景はインタビュー形式で語らせる! 
 
身の丈にあった映画作りがとても好感がもてます。 
 
視点は常に6人の中の1人を中心に進みますが、廊下で肩をポン!と叩いた瞬間にそれが切り替わったりして、 これが思わず、おっ!となる爽快さ。 
 
荒削りで稚拙な部分もありますが、大事な大事な映画になりました。 
 
恐らく、観る側の感受性や経験によって感じ方が変わる映画だと思います。 
 
私は見終わったあと、バカみたいに泣き続けてしまい、友人に呆れられました(笑) 
 
お時間があれば、ぜひ。