シラフで死ねるかっ。~酔い闇の映画祭り~

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ウィンターズボーン(ネタバレあり)

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目の前のいろはすが凍っていくジオストーム体験したから………さらに寒くなる映画を………。
 
ジェニファー・ローレンスがとにかくド根性で生き抜く映画。 
 
多少、ネタバレあります!!! 
 
ちなみに昨夜のザ・フォッグは寝オチしちゃったぜヽ(・∀・)ノフゥー!
 
 
 
【勝手に星付け@映画】 
 
 
・ウィンターズボーン ★★★☆☆ 
 
 
 
 
あらすじ→ミズーリ州南部に住む17歳の少女リーは父親を探していた。麻薬の密造で逮捕された父は、保釈後に姿を消していたのだ。父が裁判に出廷しないと、保釈金のかたとして家と土地が没収され、家族は路頭に迷ってしまうのだ。(Wikipediaから一部抜粋)。
 
 
 
どこにもいけなかったギルバードグレイブ少女版、とでも言うのだろうか。 
 
一応、ジャンルはスリラーになってるけど、観た感じはヒューマンドラマじゃないかなっと。
 
スリラーやサスペンスとしての謎解きを期待すると肩透かし。 
 
まず主人公が住んでる町がギルバードグレイブのような望めばどこにでもいける場所ではなく、とてつもなくどん詰まりで閉塞感すらない通り越して絶望しかないような町。 
 
世界の中心で愛を叫ぶより、立ちすくむことしかできない。 
 
行方不明の父親は"掟"をやぶったために村人たちに殺されて水中に沈められていたが、 
 
決定的なセリフや説明はほとんどなく、
 
言葉の応酬だけで何が行われたかを察っしなくてはならないなんともいえない不気味で不穏な曖昧さ。 
 
おぼろげに見えてくる事件の全体像には、頭がずどーんと重たくなる。 
 
ジェニファー・ローレンス演じるリーは、とても毅然としていた。
 
この映画のジェニファー・ローレンスは、決して美人枠ではなく、スタイルもよくない。
 
ちょいぽちゃでもっさい女の子だ。 
 
でもドラッグの誘惑を断り、弟妹を守り、心の病にかかった母親を看病する。 
 
くじけない前向きな強靭さ、そしてド根性!
 
リンチされても、父親の遺体を手にしても、涙を見せない。 
 
泣いていいんだよ!とこっちがいいたくなる。
 
唯一、母親と森で会話した時にだけ流した涙。 
 
父親の遺体を引き上げた時の声にならない叫びが痛々しい。 
 
彼女が守りたかったものを守れたとして、この先もどん詰まりなのは変わらず、救いもない。 
 
いつかリーも父親と同じ道を進むことになるのは想像にかたくない。 
 
ギルバードグレイブと大きく違うのは、この映画には外の世界が全くないのだ。 
 
彼女がどうしてその場所を守ることに決めたのか。
 
それは、どん詰まりでも、そこでしか生きていけない「諦め」を抱いていたからだと思う。
 
父親の弟のティアドロップが犯人に復讐しようにおわせる不穏な雰囲気で映画は終わる。
 
 (このティアドロップのタトゥーがまたかっこいいんだ!!!) 
 
種々の救いや、優しさがあってもリーは手に取らない。 
 
それは自分の人生を救うチャンスにはならないと、諦めているからだ。 
 
悲しくて、胸がしめつけられる。