ファング家の奇想天外な秘密
【勝手に星付け@映画】
ファング家の奇想天外な秘密 ★★★☆☆
あらすじ→落ち目の女優アニーとスランプ中の作家バクスターは、ファング家の長女と長男である姉と弟。
両親のケイレブとケミーユは、街で奇行を演じては市民を驚かせる前衛芸術家で、そんな両親を手伝っていたアニーとバクスターは両親を理解できず、今は自立していた。
だがバクスターの入院をきっかけに、ケイレブとケミーユは子どもたちと久しぶりに再会するが、ケイレブとケミーユが殺人犯に誘拐されたらしいと保安官から連絡がある。
昔から人々を騙し続けてきた両親を知っている2人は、これもパフォーマンスでは、と思いながら捜索を続ける。
アーティストとしての両親の作品なのか、はたまた本当に事件に巻き込まれたのか?
ニコール・キッドマン主演の劇場未公開作品。
いやー、これがなかなか面白かった!!!!
たまにはコメディで笑いたいと、タイトルとジャケに惹かれて借りてみたら、
どう観てもミステリーだし、ヒューマンドラマだし、おまけにどんでん返しにぽかーん…………、
いやいや、これは邦題ダメでしょー!となりました。
ニコール・キッドマン演じる落ち目のアニーは、プロデューサーに煽られてトップレスで撮影所を闊歩するわ(←あげくに隠し撮りされて雑誌に売られるというオチまでつく)、再起をかけて挑んだインタビューの記者と衝動的に寝てしまうわ……もうめちゃくちゃ。
弟のバクスターはバクスターで、ぐだぐだと〆切を2年も伸ばしては小銭稼ぎにしょうもない"ポテト大砲"の取材に嫌々いったものの、なぜかテンション爆上げでポテト大砲ぶっぱなして大ケガ。
コミカルに描かれてはいるけど端から観てると、なんであんたらそんなにしょうもないことばっかやってんの…………と冒頭からウンザリ(´-ω-`)
しかしこのしょうもないグダグダっぷりの原因が明らかになるにつれ、
どうしようもない閉塞感に包まれてしまった。
彼らは幼い頃からアートに命をかける両親に"子供A"、"子供B"という役割を与えられ、そのパフォーマンスの中に組み込まれて生きてきたのですが、
初めは意味もわからず遊び感覚でAとBを演じていても、やがて故意にアニーとバクスターを精神的に追い詰め、それすら"アート"にしていく両親の姿にはやるせなさしか感じなかった。
これは最早、虐待と洗脳!!!
にも、関わらず両親はオレタチ天才ヒャッハー状態………うーん、胸くそ。
大人になってからも呪縛から逃れられず、愛憎に苦しみながらも両親の愛を求める彼らの姿には親子とか家族とか愛情ってなんだろうな……と考え込んでしまった。
探すのが救いか、諦めるのが救いか………それすらも分からないままに両親の捜索を巡って衝突をくりかえすようになる姉弟。
こんなクソな親捨てちまえよ!!!っと内心、思うのだけど、親子ってそう簡単じゃないんだろうな。
終盤、バクスターがアニーに語る。
「死んでいたら嫌だが、生きていたらもっと嫌だ」
こんなこと子供に言われる親ってなんでしょーね………。
しかしこのセリフから、事態は急転直下。
家族の秘密やら、嘘やら、愛やら、アートを巡る人間模様やら………あらゆる伏線を回収しながら、ぽかーん………となる大オチに突入!!!
でも結果的には、ハッピーエンド!…………なのかな。
そう思いたい。
以下、ネタバレ。
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こんなのありかぁーッ!!!!!ですよねー。
これが"アート"ってんなら、見ず知らずの人間をいきなりぶん殴るのだってアートだろうよ?と。
カミーユはどうしてあんなクソ亭主の嘘を"アート"と思えるのか………。
裏切りを無理矢理、アートと言い切るケイレブにも胸くそだけど、
嘘と分かりつつも子供を傷付けてまで、それに寄り添う母親にはさらに胸くそ!!!!
アートや芸術は人生をより豊かにする。
けれど、人を傷付けるようなものをアートとは呼びたくないなぁ。