シラフで死ねるかっ。~酔い闇の映画祭り~

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ふたりの5つの分かれ路(ネタバレなし)

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【勝手に星付け@映画】

ふたりの5つの分かれ路 ★★★★☆

※ネタバレがあるかないかというより、結末は初めから決まってますので最後まで読むかどうかは各自のご判断でお願いします!!!

あらすじ→2004年に上映されたフランスの映画。フランソワ・オゾン監督。映画は一組のある夫婦の離婚にはじまり、時間を遡って二人の出会いを描いている。(Wikipediaより)

他の方の投稿を観て、とても気になったので鑑賞。

ジルとマリオン。

映画はこの二人が離婚した瞬間から始まり、ラストの二人の出会いまで時系列を遡りながら、進む。

すれ違いやいさかい、離婚に至る分岐点(分かれ路)が、それぞれの章に分かれて描かれるのだが…………!

二人ともなかなかにくせ者。

離婚が成立した直後にホテルで「これが最後ね」とばかりにいきなりセックスを始める二人。

…………えー?なんでそうなるのかわからなーい!とぽかーん。

しかもそんなに悪い雰囲気じゃない二人になんで離婚する必要があるんだろうか…………と、疑問がわくのだけど、

自分の身勝手な振る舞いに全く気付かないジルと、諦めと拒絶をいったりきたりするマリオンに、

あぁ、この2人の間にある溝はそう単純に白黒つけられるものではないのだと気付かされる。

すでに別の相手が存在しているジルに問われ、「遊び(の相手)ならいる」と答えるマリオン。

でもこれは、マリオンの女の意地だったんじゃなかろうかと思う。

本当は独り。しかし孤独を悟られるのを良しとはしない。

そんな複雑な女心からの言葉に感じた。

それは実はこっそりセクシーな下着を身に付けて現れた彼女の行動にもよく表れてると思う。

いやー、しかしフランソワ・オゾンは怖いッ!

女(の肉体)の撮り方が非常にシビアにですよー。

もうやめてー!そんなとこ撮らないでー!となるけど、すごく綺麗。

この映画は女性と男性でははっきり評価がわかれる映画かも知れませんねー。

というより、どちらの心情に寄り添えるか……かな。

結婚初夜のマリオンの行動は、善し悪しは別として………気持ちはすごく分かる。

ホテルを抜け出したマリオンが、壊れていても憎み合っていても、

夫婦という形を保ち続ける両親が仲良くダンスする姿をどういう思いで見つめていたのか。

私はマリオンがジルと自分との決定的な分岐点をそこで見つけたような気がします。

だってあれはないでしょーッ!バケツで水ばっしゃーんしなかったマリオンに拍手(゚∀゚ノノ"☆パチパチパチ★

離婚が1つ目の分かれ路として、4つ目まではこんな旦那いらないだろー!って感じていたけども、

ラスト、5つ目の分かれ路。

二人の出会いのシーンがあまりにも美しくて、泣けた。

なんでこうなっちゃうんだろうなー!

愛憎や愛情に何も違いはなくて、同じ時間を過ごす内に、

それぞれが持つ「愛」の意味だけが変わっていく。

そこに善し悪しなんて持ち込む余地はないのだと感じた。

地味な映画だけども、胸にじんわりときました。

あとマリオンがジリアン・アンダーソンに見えて仕方なかった件も一応、書き加えておきます。