シラフで死ねるかっ。~酔い闇の映画祭り~

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バルフィ!人生に唄えば(ネタバレなし)

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インドつながりで連投。
 
理由・昨夜カレーを食べたから。
 
 
 
【勝手に星付け@映画】 
 
 
バルフィ!人生に唄えば ★★★★☆ 
 
 
あらすじ→冨も地位もある男性と結婚し、何不自由なく暮らしていたシュルティ。 
家族の愛情を受けずに育った自閉症のジルミル。 
そんな二人の女性が、バルフィと出会い、まるで初恋の時のような強い感情で互いに惹かれあうが、 
時に、「言葉」の壁や、身分の差など、様々な困難が彼らの前に立ちはだかる。 (Amazonより転載)。 
 
 
 
たまには軽めに明るく行こうじゃないの! 
 
と、ほぼBGM感覚で見始めた映画がくっそ面白かったことってありません? ありますよね!ありましたよ! 
 
それがバルフィです!ちくしょー、ボリウッド恐るべし。
 
主人公の2人(正確には3人)がセリフを全く喋らない映画なんて画面釘付けすぎてBGMにならんじゃないか!!
 
↑誉めてます。 
 
あらすじだけ読むとラブストーリーなんですが、ジャンルでいえばヒューマンドラマですし、過去と現在を行き来しながら事件を解いていく謎解きミステリーでもあります。 
 
いくつかのシークエンスを経て、映画は過去にとび、バルフィが逮捕されて拷問紛いの尋問をされるとこから始まります。 
 
ジルミルが誘拐され、警察は犯人としてバルフィを逮捕。 
 
しかし彼はジルミルが誘拐されたことすら知らなかった………! 
 
そこから話はどんどん遡り、現代の登場人物たちの独白(インタビュー?)を挟みながらシュルティとの出逢いやジルミルとの日々が回想で語られるのだけど、 
 
前述の通り、主人公二人(バルフィとジルミル)には全くセリフがありません。 
 
ジルミルは「おじいちゃん」、「笑うな!」と最初の方に言うだけてあとはひたすら「バルフィ」というセリフしかない。 
 
あらすじには載ってませんが、バルフィは生まれつき耳が聞こえず話すこともできないのです。 
 
バルフィとジルミル、シュルティの会話はほんのちょこっとの手話(←それも字幕なし!)に、わずかなジェスチャーだけ。 
 
シュルティに至っては、唯一の健常者なのにほとんど喋らない!
 
うわぁー、これでストーリーが成り立つんだろうか?と少し不安になりましたが…………大丈夫! 
 
「相手を想う“心"さえあれば、互いの瞳を通して愛を語り合うことができる」というバルフィの信条の通り、 
 
セリフなんかなくったって、喜びも幸せも悲しみも痛みも全て伝わってくる。 
 
主人公のバルフィ、ジルミル、シュルティの演技力には脱帽です。 
 
三人三様の恋模様が実に生き生きとしていて、こっちまでニンマリしたり、ホロリ………ときたり。 
 
特に終盤の窓のシーン…………ネタバレなるから書きません!書きませんが、ほんとにあの場にいた全員の気持ちが痛いほど分かって…………号泣しました。
 
あの時、自分ならどうしただろう?と考えると………答えは出せないです。 
 
ミステリーとしては大きなどんでん返しがあるわけじゃないけれど、納得の決着。 
 
★4つのポイントは、途中で挟みこまれるインタビュー(?)はなくてもよかったかなぁというのと、 
 
詳しいわけではないけども、自閉症の描き方がちょっと違うんじゃないかなぁという2点。 
 
それ以外は満点! 
 
この映画、さまざまな名作のオマージュがちりばめられてるんですが、 すみません!!! 
 
「君に読むものがたり」とジャキー・チェンの映画(タイトル失念)しか分かりませんでした!!!!! 
 
↑あとは詳しい方にお任せします! 
 
バルフィ役のランビール・カプールチャップリンキートンの動きを研究しただけあって、ほんとにユーモラスで表情豊か。 
 
ジルミル役は、クワンティコでお馴染みのプリヤンカー・チョープラー。 
 
めっちゃ可愛い上に、自閉症という難しい役をこれ以上ないくらい繊細に誇り高く演じています。 
 
私、空席だった2017年度の映画ランキング10位すべて埋まっちゃった! 
 
pkよりよかった!
 
↑pkはちょっとうまいこと言ったろ路線を狙いすぎたもんね! 
 
バルフィは「きっとうまくいく」と並ぶくらい好き。 
 
往年の名作のオマージュを探す楽しさも味わえるし、
 
思い描いていた未来と現実の落差や、後悔を抱えながら生きるつらさ、しがらみを振り切る愛の強さ。 
 
シュルティにもジルミルにもバルフィにもあるであろう「もしあの時…」というヒリヒリした痛みが解消されることはなくても、 
 
人は愛をもって毎日を生き抜いていくのだという希望がみえた映画でした。 
 
是非におすすめいたします。